祭りの恋

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「叔母さんが入院しちゃったのよ、手が足らないんだから、とにかく手伝ってね」 「はぁ~い」 そう、叔母が骨折をし入院してしまった。 いつもなら、水曜日から泊まり込んで手伝いにくる叔母がいない今年は、あきらかに人手不足。 我が家は戦後から仲見世通りに店を構え商売をしている。 店は母と祖母が切り盛りしているが、この祭りシーズンは観光客や親せきが祭り目当てに訪れる為、サラリーマンの父も金曜から仕事を休み、店と家の手伝いに明け暮れている。 気が重い。 親せきの相手も面倒だし、店番もヤダ。 祭りにテンションが上がる訳もなく、憂鬱な気分のまま、金曜を過ごした。 仕事帰りに祭りを実感。 いつもなら7時を過ぎれば静かなこの辺りも、今夜は地元のオジサンたちが、祭りを喜び賑わいをみせている。 『はぁ……』 自然とこぼれるため息をまき散らしながら家に帰った。
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