祭りの恋

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まだ薄暗いのに、どの家も電気が点っている。 有得ない重さに、心を折られながら、歩いて2分の場所にある、町会事務所を目指す。 もう……落としそう。 「あっぶね~な」 そう横から声が聞こえると共に、両手が急に軽くなる。 「珍しいな、トモがココにくるなんて」 懐かしい声が隣から聞こえ、手の中のお盆は消えていた。 「……あ、おはよ」 「ああ、おはよう」 私からお盆を奪い取ったのは幼馴染の『あっくん』 「おまえ、少しは身なりに気をつければ?」 あっくんは私の顔を見るなりそう言った。 「ま、まだ朝早いでしょ。仕方ないじゃん」 「女子力低すぎるだろ」 あっくんはスッピンのメガネ姿の私を見ながら、バカみたいに笑っている。 確かに、ひどい恰好。 髪を無造作に後ろでまとめ、Tシャツにスウェット姿。 女子力なさすぎた。
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