祭りの恋

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町会事務所は熱気にあふれ、半纏(はんてん)姿のオジサンたちが溢れていた。 「東谷(ひがしや)さんから差し入れです」 あっくんが私の代わりにそう声を掛け、テーブルにおにぎりを置いてくれた。 「あれ?友子ちゃん。珍しいね」 顔見知りのオジサンは目じりを下げながら、おにぎりを一つ取った。 「東谷さんのおにぎりは本当に美味しいんだよ。ありがとうね」 私は首を横に振りながら、愛想笑いを浮かべる。 「トモ、あとで龍たちがくるからお前も顔だせよ」 あっちゃんもおにぎりにかじり付きながらそういった。 未だに、あっちゃんの友達は皆、祭りを愛し、参加している。 「うん、ウチが大丈夫だったら……」 「あれ?今年は手伝いなの?」 「うん、叔母さん来ないから」 「そっか。じゃ、とりあえず皆が来たら連絡するわ」 「うん」 あっという間に空になったおぼんを持ち、事務所をでた。 心に何かが引っ掛かる。
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