45人が本棚に入れています
本棚に追加
「トモ!!」
角を曲がったところであっちゃんの声が聞こえた。
振り返れば、半纏を羽織ったあっちゃんがこっちに走ってくる。
その姿に胸がドキドキした。
このドキドキは『あの』ドキドキ。
幼馴染に抱くとは思っていなかったドキドキ。
顔が熱くなるのを感じる。
「ど、どうしたの?」
「いや……あとで連絡するって言ったけど、番号変わってないか、確認すんの忘れてたから」
「あ、うん。変わってないよ」
「そっか……じゃ、また後でな」
あっちゃんが私に背中を向けた。
「あ、あっちゃん!」
「ん、なに?」
「あのさ今、彼女っているの?」
すらっと口からでた言葉に、自分で驚く。
「か、彼女?いない、全然いないよ」
「そっか……ゴメンいきなり変な事聞いて」
「ああ…大丈夫。っとトモはいるの?」
あっちゃんの耳が赤くなっているように見える。
「ううん。いないよ」
「そっか……じゃ、後でまたゆっくりな」
「うん。頑張ってね」
「おう!」
照れた様な笑顔を私に向けながら、あっちゃんは事務所に戻っていった。
早く家に帰ろう。
ちゃんと化粧をして、女子力を上げて……。
うん、祭りも悪くないかもね。
久しぶりのドキドキは恋の予感。
幼馴染との恋、今日始めました。
最初のコメントを投稿しよう!