第1章 夏の始まり 夏樹

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「お願いしまっす!」 裕也のかすれた叫び声がグラウンドに響きわたる。 「行くぞ!」 ホームベースのところでバットを構えた監督がボールをショートの守備位置についている俺たちに向けて打つ。 ボールはさっきと同じような軌道で飛んできた。 飛び込んでもボールを捕ることができなかった俺と違い、裕也は悠々と回りこんで待ち構え、ボールはグローブの中に気持ち良さそうに入っていく。裕也はそのままボールを握りしめ一塁に送球する。 その一連の流れは何の違和感も感じず、ただただ本当に美しかった。 「ナイスプレー」 「おうっ」
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