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「いいよな夏樹は、一組で。可愛い子多いじゃん。二組とか片手で数えれるくらいしか可愛いやついねーし」
「多分それ女子たちも似たようなこと思ってるはずだぞ」
裕也が冷静に雄二の失礼な発言に突っ込んだ。裕也と雄二は二組で俺は一組。四月のクラス替えで野球部の奴らとは離れ離れになってしまった。
「なぁ田口さんって彼氏いるのかな?」
「わかんないけど……いないんじゃないかな」
「まじで!?俺狙っちゃおうかな」
お前じゃ無理、と全員の揃った声が雄二に飛んでいった。
うるせー俺だってやる時はやるんだぞ、と雄二は反撃してくる。
田口さんとは一年生の時も同じクラスだった。正直、その頃は冴えない女子の中の一人という印象しかなかった。
いや、もしかしたら一年生の頃から田口さんは可愛いかったのかもしれない。
とにかく俺は田口さんのことをよく見ていなかった。初めて見た時からずっと田口さんの横にいつもいたあいつしか俺の瞳には映っていなかった。
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