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たとえ控えの選手だからといって、こんな時期に怪我なんかしたくはない。
部室棟の他の部室は真っ暗になっていて、電気がついているのは野球部の部室だけみたいだ。
「夏樹!」
階段の上のほうから誰かが俺の名前を呼んだ。振りかえってみると裕也が荷物を持って追いかけてきていた。
「階段気をつけろよ」
「お、おう」
裕也は途中まで駆け足で階段を降りてきていたが俺に注意されて足取りが慎重になる。
「たく……、お前がもし怪我したらどうするんだよ」
「ははは、そしたらお前がショートで試合に出られるじゃんか」
何の悪気もなく裕也はこういうことをすぐ口にする。
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