第2章 涙の理由 楓夏

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今日も教室の外の廊下をきゃっきゃっ言いながら食堂へと向かう生徒の声が、源氏物語を現代語訳していく岡本先生の声を掻き消していた。 私は源氏物語を実写化するなら光源氏はどの俳優さんが似合うかななんて考えていて全く授業に集中していなかった。そんな時にふと廊下を見ると、二年生で吹奏楽部の後輩のゆみちゃんが、三年生の教室の前だからなのか居心地悪そうに古典の授業が終わるのを待っているのに気がついた。
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