第2章 涙の理由 楓夏

8/20
前へ
/50ページ
次へ
「これ受け取ってください」 そう言ってゆみちゃんは茶封筒を手渡してきた。封筒の表には筆ペンで‘‘退部届’’と書かれている。 「ゆ、ゆみちゃん、考え直してよ!?せっかく二年間がんばってきたじゃんか!」 冷静に話そうと思っていたのに、とうとう取り乱して大きな声を出してしまった。ゆみちゃんもびっくりしてるし、私も自分がこんな大きな声を出せることに驚いた。 ゆみちゃんは後輩たちの中でも一、二を争うくらい真面目で練習熱心な子だ。毎日練習も楽しそうにしていた、というのが私の中での印象で正直ゆみちゃんが辞める、と言うなんてこれっぽっちも想像していなかった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加