第2章 涙の理由 楓夏

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「すみません、もう決めてしまったことなんで」 私の説得にゆみちゃんの心は一ミリも動く気配がない。 「で、でも……」 この後に続く言葉が出てこない。 私が吹奏楽部の部長になってからすでに二人部員がいなくなった。 ゆみちゃんが三人目になろうてしている。 一人目の時も二人目の時も私は上手く引き止めることができなかった。去っていく者の手をいとも簡単に手離してしまった。 そのことを今でもすごく後悔している。 みんなと一緒に最後までやりたい。 私の気持ちはただこれだけだ。
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