第2章 涙の理由 楓夏

12/20
前へ
/50ページ
次へ
もう少しで放課後の練習が始まる。もし明日、土曜日の試合で野球部が負けたら私と絵理にとって今日が最後の練習になってしまうのに、こんな気持ちで練習に臨みたくない。どうにかして気持ちを落ちつかせようと深呼吸をしたり目をつむってみたりするけれど全然効果がない。 心なしかだんだんセミの鳴き声が大きくなってきている気がする。 あまりにもうるさいから窓を閉め切ってやりたいけれど、そんなことをしたらエアコンなんかもちろん付いていないこの教室にもんもんとした熱気がたまってさらに不快指数が高まってしまう。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加