3人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
「先輩…、俺……っ!」
音楽室にある練習室の中。
3畳ほどの狭い練習室の隅っこで、体を丸め込むようにして座るキミ。
「ふ…っ、ぅぁ……っ」
閉め切った練習室の中で、今日もキミは泣いている。
「俺っ、もうどうしたらっ、いいか……!」
「うん。」
押し殺した声で、叫ぶように。
「わからないん、です…っ!ちゃんと…、話さなきゃとか、考えっ、なきゃ…っ、とか!」
前に立つにはメンタルの弱すぎるこの後輩は、私が練習を見に行くときに高確率で、泣く。
私がいないときは、泣かないようだけど。
「うん、そうだね。」
私はそんなキミのすぐ隣に座って、何をするでもなくただひたすら話を聞いている。
「どうしたら……、どうしたら……っ!」
キミが落ち着くまで、ずっと。
.
最初のコメントを投稿しよう!