プロローグ

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「先輩…、俺……っ!」 音楽室にある練習室の中。 3畳ほどの狭い練習室の隅っこで、体を丸め込むようにして座るキミ。 「ふ…っ、ぅぁ……っ」 閉め切った練習室の中で、今日もキミは泣いている。 「俺っ、もうどうしたらっ、いいか……!」 「うん。」 押し殺した声で、叫ぶように。 「わからないん、です…っ!ちゃんと…、話さなきゃとか、考えっ、なきゃ…っ、とか!」 前に立つにはメンタルの弱すぎるこの後輩は、私が練習を見に行くときに高確率で、泣く。 私がいないときは、泣かないようだけど。 「うん、そうだね。」 私はそんなキミのすぐ隣に座って、何をするでもなくただひたすら話を聞いている。 「どうしたら……、どうしたら……っ!」 キミが落ち着くまで、ずっと。 .
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