1.ムー

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彼のあだ名はムー。 正直、名前は覚えてない。 踊り係をしていて、踊るのがなかなかうまいんだ。 「いえいえー。今日は踊り練とかミュージカル練とかあるよね?」 「はい、ありますよ。今日は苦手なところ詰めようと思って。」 先輩が来てくれて、安心しました。と。 ほっとしたように笑いかけるムーを見て、心がきゅんっと締め付けられる。 「もう。私を頼らないでよ?練習を回すのはムーなんだからね?」 口ではそうやって、ちゃんと“先輩”らしく言ってみるけれど。 嬉しがってる心は確かにあるんだ。 「はーい。でも、何かあったら言ってくださいね。」 「ほいさー、了解。ビシバシしごくね。」 「お手柔らかにお願いします。」 .
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