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今日も味気の無い学校での日常が終わって、家に帰って、夕方が来た。
日の光によってオレンジ色に染められた自室のベッドに寝転びながら、ミリはスマートフォンを縦持ちにしてゲームをしていた。
よくあるパズルゲーム、アイコンを消しまくってハイスコアを狙うタイプの物だ。
制服はとっくに着替えてクローゼットの中で、ミリはTシャツにジャージというラフな格好になっていた。
「……はぁ」
溜息と共にゲームをやっていたミリの手が一瞬止まり、そのコンマ数秒の内にゲームオーバー画面が現れた。
鼻だけで大きく溜息を吐き、スマートフォンをベッドに叩きつけ……ようとして思い直しゆっくり手を降ろす。
(なんなんだろう)
ごろりと寝返りをうつ。
とても、退屈だ。
家にいても、学校にいても、登下校中でも。
日常の全てがつまらない。
ゲームや音楽で一時は、それを忘れられても、止めた瞬間に襲いくる退屈からは逃れられない。
勉強にも手が付かない。
全身に鬱蒼とした苛立ちが募る。
今すぐにでも、ここで暴れ出したいくらいに。
しかし、ミリはごろんと再び寝返りをうつことでそれをどこかに散らした。
(つまんない)
問題なのは、何がつまらないのか分からないこと。
(何か起きればいいのに)
漫画や小説の主人公みたいな、刺激的な何かが起きて欲しい。
そんな不謹慎なことを考えて、どうせそんな物手に入らない、なんて考えて、ミリは諦念と一緒に目を閉じる。
昼寝をすることにした。
もうすぐ夕飯だけれども。
寝てしまえば、嫌なことから逃げられる。
場合によっては、非現実的な夢を見られる。
そんな夢を見たあとに決まって訪れる凄まじい虚しさがあることからは目を背け、ミリは眠りの中に落ちていった。
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