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恋愛なんて忘れた。
毎日はただ働いているだけで過ぎていく。
自分の年齢を数えるのが嫌になった。
月日は何もしなくても巡っていく。
仕事の帰り道、電車に揺られて、窓に映る冴えない疲れた顔の自分を見る。
外は真っ暗で、車内は明るくて、まるで鏡でも見ているかのようによく見える。
冴えない、疲れた顔の自分。
そんな自分の顔が嫌にも思って、あまり混んでもいないから、前髪をなおしながら表情をつくってみた。
にこっと笑いかける。
窓に映る自分に。
営業スマイルは仕事のお陰で得意になっているかもしれない。
得意ではあるけれど、かなり貼りついた笑顔。
頬を摘まんで引っ張って、うりうりと自分の顔を虐めていたら、次の駅で降りるらしいサラリーマン風の酔っ払いに見られて、後ろで吹き出して笑われた。
少し恥ずかしくもなって、おとなしく何もしないでおく。
電車はホームに入り、扉が開いて、人が降りていく。
乗ってくる乗客もいない。
席はあいたけど、次の駅で降りるし、と、そのまま立って、扉が閉まって外の風景が流れていくのを見る。
なんでもない日常。
最寄り駅で電車を降りたあとは、もう夜も遅い時間だけどご飯をコンビニで買って、一人暮らしの部屋に帰る。
ワンルームなんだけど、それなりに綺麗なマンションかもしれない。
駅から徒歩で帰れる場所にあるのはうれしい。
電車の音が何気ないときに聞こえてきたりもする。
テレビをつけて、誰もいない部屋で一人でご飯を食べて、お風呂に入って眠る。
眠るためだけの場所なのかもしれない。
いつも特に何もしていない。
それでも朝がきて、昼には仕事にいって、夜に帰って眠る。
もう少し時間帯が違う仕事をしていれば、仕事あがりにどこかへ遊びにいくとか考えたのかもしれない。
過ぎていくだけの時間。
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