473人が本棚に入れています
本棚に追加
もやつきながら仕事して、ビルを出てから携帯を見てみると、唯人さんからの未読が10も溜まっていた。
唯人さんがスタンプ連打したのかと思えば、恵子さんと思える文章ばかりで。
『唯人に会いたいからイサミのこと話してるんじゃないよ』
『前は会うのこわかったけど、ちゃんと会って話さないとって思ってる』
そんな言葉ばかりで。
ユウさんに向けて送られているものでもないけど、これをユウさんも見ていると思うと更にもやつく。
唯人さんは余計なことをしてくれた。
とも思うけど、ユウさんだけにこれが送られていて、私は知らないままでもいやなことかもしれない。
これを送られている唯人さんもあまりうれしくはないだろうと思う。
あまりにもやつくから、ユウさんの事務所に寄って帰りたい気持ちもありつつ、昨日は外食だったし、今日は家でご飯となれるように家にまっすぐに帰る。
ユウさんが帰ってこなくなりそうに思いながらご飯を作っていると、ユウさんが帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
玄関で靴を脱ぎながらユウさんが声を返してくれる。
「唯人さんから恵子さんからきたメール、いっぱいきたんだけど」
もやつくからどうしてもすぐに聞かなきゃと聞いてしまう。
ユウさんはリビングまできて、ユウさんの携帯をキッチンのカウンターテーブルに置く。
「俺のところにもきてる。同じかどうかはしずちゃんが見て確かめて」
「見てもいいの?」
「いいよ。しずちゃんにも送るって本当だったんだな。あれはさすがに鬱になるからもう見なくていいよ?」
鬱…。
なるかもしれない。
スタンプ連打されているほうがいい。
料理をする手を止めて、ユウさんの携帯を見せてもらった。
ラインを開いて唯人さんとの履歴を見る前に軽く浮気チェックなんてしてみる。
女の子との履歴ないかなと。
なかった。
友達一覧には女の子の名前でまず登録されていないし、女の子っぽいのもない。
ないけど多い。
友達というより仕事関係なんだろう。
唯人さんとの履歴を見てみると、私に送られたものとまったく同じだった。
「とりあえず放置でいいと思うんだけど、いい対処法ある?」
「放置で飽きてくれるの?」
最初のコメントを投稿しよう!