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「恵子さんのメール、ユウさんのことばかりだったよ?」
嫉妬もしつつ、そこにふれてみる。
「あり得ない。なんの前触れもなく、さくっと捨てられたのは俺だから。
……今もう亡くなってるんだけど、唯人さん、弟いたんだよ。恵子はその弟と仲良くしていたから、俺の予想ではその唯人さんの弟、寿人の子供なんじゃないかなって。俺は寿人とあんまり面識ないし、もう亡くなっているから唯人さんにも言いづらいんだけど。
俺と戻りたいというのだけはあり得ない。結婚して、子供が生まれて、1年もたたないうちに離婚。ここにあいつの恋愛はなかったと思う。結婚したって感じでもなくて、妊婦と同居みたいな…」
深く聞いたこともなかったのに、そこまでユウさんが話してくれて、なんとなく今の状況を重ねてしまう。
ユウさんにとっては繰り返してしまっていることになりかねない。
「私は恋愛だからねっ?」
慌てて言うと、ユウさんは吹き出すように笑って頷いてくれる。
「わかってる。どうせ俺なんてイケメンでもないし、こわがられて女の子近寄ってくることもないし。近寄ってきても恵子みたいな連れにしかならなかった。金を稼ぐようになって金になら釣られてくれることを覚えて、そういうつきあいばっかり。誰とつきあっても恋愛しているなんて思わなかった。一時のそういう相手だと思っていた」
ユウさんは食べていたお箸をおいて、お茶を飲んで。
食べるのも止まって、じっとユウさんを見ていた私を見て笑顔をくれる。
「大丈夫だって。しずちゃんが愛してくれてること、ちゃんとわかってるから」
軽く言ってくれちゃう。
本当にわかってくれているのか疑うくらい。
私はお箸をおいて、椅子から立ち上がるとユウさんのそばにいって抱きつく。
精一杯の気持ちでぎゅっと抱きつく。
「私にとってユウが一番かっこいいって思ってる。唯人さんもイケメンだけど見た目、チャラチャラしてるって思うし、ユウがいい。ユウの笑顔も一番好き。ユウがいなきゃ嫌だからね」
「…ほんと、愛されてますね、俺」
ユウさんは照れたように言ってくれる。
私はすりすりと頬をユウさんの頭に擦り寄せまくる。
愛しまくっています。
過去の人も気になって。
そこに嫉妬もしてしまうくらい。
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