にじゅうきゅうこめ

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「恵子さんのメール、ユウさんのことばかりだったよ?」 嫉妬もしつつ、そこにふれてみる。 「あり得ない。なんの前触れもなく、さくっと捨てられたのは俺だから。 ……今もう亡くなってるんだけど、唯人さん、弟いたんだよ。恵子はその弟と仲良くしていたから、俺の予想ではその唯人さんの弟、寿人の子供なんじゃないかなって。俺は寿人とあんまり面識ないし、もう亡くなっているから唯人さんにも言いづらいんだけど。 俺と戻りたいというのだけはあり得ない。結婚して、子供が生まれて、1年もたたないうちに離婚。ここにあいつの恋愛はなかったと思う。結婚したって感じでもなくて、妊婦と同居みたいな…」 深く聞いたこともなかったのに、そこまでユウさんが話してくれて、なんとなく今の状況を重ねてしまう。 ユウさんにとっては繰り返してしまっていることになりかねない。 「私は恋愛だからねっ?」 慌てて言うと、ユウさんは吹き出すように笑って頷いてくれる。 「わかってる。どうせ俺なんてイケメンでもないし、こわがられて女の子近寄ってくることもないし。近寄ってきても恵子みたいな連れにしかならなかった。金を稼ぐようになって金になら釣られてくれることを覚えて、そういうつきあいばっかり。誰とつきあっても恋愛しているなんて思わなかった。一時のそういう相手だと思っていた」 ユウさんは食べていたお箸をおいて、お茶を飲んで。 食べるのも止まって、じっとユウさんを見ていた私を見て笑顔をくれる。 「大丈夫だって。しずちゃんが愛してくれてること、ちゃんとわかってるから」 軽く言ってくれちゃう。 本当にわかってくれているのか疑うくらい。 私はお箸をおいて、椅子から立ち上がるとユウさんのそばにいって抱きつく。 精一杯の気持ちでぎゅっと抱きつく。 「私にとってユウが一番かっこいいって思ってる。唯人さんもイケメンだけど見た目、チャラチャラしてるって思うし、ユウがいい。ユウの笑顔も一番好き。ユウがいなきゃ嫌だからね」 「…ほんと、愛されてますね、俺」 ユウさんは照れたように言ってくれる。 私はすりすりと頬をユウさんの頭に擦り寄せまくる。 愛しまくっています。 過去の人も気になって。 そこに嫉妬もしてしまうくらい。
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