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ユウさんのためになるのなら、ユウさんの身に降りかかるものをすべて取り除いてあげたいけど、どれもこれも私は役立たず。
恵子さんに唯人さんを落とす方法を伝授すればいいのかと思ってみても、私、まず唯人さんを落としたわけでもない。
まずは気を許せる相手になれば、唯人さんのほうがそういうことに興味がないわけでもないし、キスもしてこようとするのだけど。
私より恵子さんのほうが長年のつきあいがある。
それでもそうならないというのは、求めるからなのだろう。
好きなんだから求めて当たり前なのだけど、求めると唯人さんは逃げる。
…あれはやめておきなさいと助言のほうが容易い。
ユウさんがそのバツイチについてあまり多く話したくなかった理由は、なんとなく見えてきた。
結婚したことがあってもなくても同じだとユウさんが言う意味もわかってきた。
嫉妬もする。
だけどそれ以上には愛せる自信が出てきたかもしれない。
ユウさんが事務所に戻らない夜、ご飯を食べてお風呂に入ったあと、ちゅうっとキスしまくる。
新婚である。
旅行は計画してもドタキャンのようにユウさんが忙しくなったりでいけなかったけど、かわりのようにずーっといちゃいちゃしていただく。
どれだけキスしても飽きない。
酸欠になって、ぽやっとして、ユウさんの体に寄りかかって、まだキス。
ユウさんもキスに興奮してきたように、私の体を撫でまくってくれる。
「生まれたら…、今度は俺の子供生んで」
当然。
私は何度も何度も頷きながらキスを繰り返す。
「今度浮気したら金請求するからね?」
そこまで言われると、どこか笑ってしまった。
私も愛されている。
何もなく許されるより、そのほうがいい。
「ユウのほうが相手、すぐに見つけるでしょ?」
目を開けてユウさんの目を見て聞くと、ユウさんはちょっと機嫌悪く私の額に額をぶつける。
「私に惚れてるなら浮気すんな」
いつかユウさんに言われた、どきっとした言葉を返してあげる。
「もうしない。…くそぉ。したいのに腹の子供に遠慮してできねぇしっ。俺の子供でもないのに…とかいう狭い心から出た言葉なだけ。生まれたらちゃんと親になってやるから。こんな狭い心、今だけ許してね?」
「虐めない?」
「静葵をとられまくったら虐めるかも。ついでにできないなら他の女…とか思った俺の浮気心、見透かされたのかと…」
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