473人が本棚に入れています
本棚に追加
それでもこの場はうまく排除できたようだ。
私は携帯をおいて、ソファに顔を伏せたままのユウさんの隣に座る。
「電話、切れちゃった。キレさせたかも。刺されそう?」
ユウさんに声をかけてみる。
「……しずちゃん、強いね」
ユウさんは寝てしまったわけじゃなくて、ちゃんと聞いていたようだ。
「仲直りしたいって言ってたけど?」
「金欲しいらしいよ。…俺の気持ち次第の慰謝料」
「ユウさんが慰謝料もらえば?」
こんなに傷つけられてるんだから。
離婚して数年たっていてももらえるのなら、ユウさんがもらうほうだろう。
私はよしよしとユウさんの頭を撫でる。
ユウさんは顔を上げて私を情けない顔で見てくれて、私は笑ってその唇にキス。
「最低って思わない?俺に呆れない?」
「恵子さんにお金あげたら最低扱いしてあげる。優しさであげられるほど、今のユウさんにお金の余裕はないでしょ?従業員減らして仕事がんばってるんだから」
「……ね。言ってくるの遅すぎなんだよ、ほんと。それで?怒らせて電話切れただけ?他には?」
「奪ってあげるって言われた」
「いや、無理。俺、しずちゃんがいい。金髪ゴスロリはさすがに無理。普通に普通のかっこしていたら普通なんだけどな」
「私は?」
聞いてみると、ユウさんは笑ってくれる。
まだ元気ないけど。
私が笑わせてあげたい。
元気にしてあげたい。
「美人」
「皺増えても言ってくれる?」
「皺増えてもしずちゃんは美人だよ。俺好みの美人」
うれしい。
ユウさんの頭の後ろに手を当てて引き寄せて、キスしまくってあげる。
ユウさんも私の頭を撫でてキスをくれる。
あなたを幸せにしたい。
私のそばにいることを幸せだと思ってもらいたい。
躓いて転びそうになること、たくさんあるけれど。
一緒に乗り越えられたら、きっと幸せ。
最初のコメントを投稿しよう!