にじゅうきゅうこめ

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それでもこの場はうまく排除できたようだ。 私は携帯をおいて、ソファに顔を伏せたままのユウさんの隣に座る。 「電話、切れちゃった。キレさせたかも。刺されそう?」 ユウさんに声をかけてみる。 「……しずちゃん、強いね」 ユウさんは寝てしまったわけじゃなくて、ちゃんと聞いていたようだ。 「仲直りしたいって言ってたけど?」 「金欲しいらしいよ。…俺の気持ち次第の慰謝料」 「ユウさんが慰謝料もらえば?」 こんなに傷つけられてるんだから。 離婚して数年たっていてももらえるのなら、ユウさんがもらうほうだろう。 私はよしよしとユウさんの頭を撫でる。 ユウさんは顔を上げて私を情けない顔で見てくれて、私は笑ってその唇にキス。 「最低って思わない?俺に呆れない?」 「恵子さんにお金あげたら最低扱いしてあげる。優しさであげられるほど、今のユウさんにお金の余裕はないでしょ?従業員減らして仕事がんばってるんだから」 「……ね。言ってくるの遅すぎなんだよ、ほんと。それで?怒らせて電話切れただけ?他には?」 「奪ってあげるって言われた」 「いや、無理。俺、しずちゃんがいい。金髪ゴスロリはさすがに無理。普通に普通のかっこしていたら普通なんだけどな」 「私は?」 聞いてみると、ユウさんは笑ってくれる。 まだ元気ないけど。 私が笑わせてあげたい。 元気にしてあげたい。 「美人」 「皺増えても言ってくれる?」 「皺増えてもしずちゃんは美人だよ。俺好みの美人」 うれしい。 ユウさんの頭の後ろに手を当てて引き寄せて、キスしまくってあげる。 ユウさんも私の頭を撫でてキスをくれる。 あなたを幸せにしたい。 私のそばにいることを幸せだと思ってもらいたい。 躓いて転びそうになること、たくさんあるけれど。 一緒に乗り越えられたら、きっと幸せ。
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