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彼氏が欲しいと思わなくなっていた。
結婚も子供もいらない。
一生一人で生きていくのか?
なんて聞かれても、出会いもないし、そういうものじゃない?って、出会いを求めることもなく思っていた。
いつもの仕事。
服屋の店員。
メンズも置いている、安い服を売っている店。
ブランド店ではないけど、それなりにいいものも中にはある。
と、仕入れも任されている雇われ店長な私は思っている。
カタログを見ながら、これ入れてみようかなと商品を検討していると、お客様に呼ばれて。
手を休めて販売の仕事。
売りつけたりはしないけど。
業績ノルマはあるけど、達成できる日もあればできない日もある。
仕入れて売って。
売れないものをなるべく仕入れないところからやっている。
それでも売れ残るときはセール品にして、いくらまで利益をとれるかっていうところ。
だいたいは6掛。
60%割引つけなければ利益はある。
「すみません、あの、これの色違いってありますか?」
なんてマネキンに着せていた服を若い男の子が気になってくれている。
棚に案内して、好きなように見てもらう。
「差し色って難しいですね」
なんて、オシャレに気をつけているような感じで。
この仕事ばかりしてきて、慣れた接客。
店にある服で差し色使ったコーディネートをつくる。
お客様の着ている服、その好みそうな色を使って。
メンズも扱っているから慣れたようなもの。
いい評価をいただけて、喜んでもらえている。
じゃあ、こんなのこんなのと、あれこれやってみる。
接客していると時間が過ぎるのが早い。
バイトの子が帰る時間になって見送って、夕方からのバイトがくるまで一人の時間。
「店長なんですか?」
お客様は聞いて、私は少し遠慮がちに頷く。
この店が私の店なら、なんにも気にするものはないのだけど。
雇われてお給料貰っている店長。
そんなにたいしたものじゃない。
そう思うのだけど。
「すごいですね。さすが店長っていうところですよね。これ、いただきます」
お客様は商品を二つ買ってくれることになって、私はレジをうつ。
すごくはないけど。
この仕事しかしていないから、転職するのも難しくなっている。
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