さんじゅっこめ

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ユウさんと話しながら、何がいいのか見てみる。 でも今は夏物ばかりで、Tシャツくらいしかないともいえる。 冬物ならスーツの上にってコート選ぶこともできたのだけど。 スーツを少し着崩した感じだし、インナーとして使ってもらうのもありかなと思えるものをユウさんに当ててみながら考える。 でも安いし。 こんなのでいいのかと奥様としては思う。 「いらっしゃいませ、ユウさん」 そんな声に気がつくとバイト二人が笑顔で挨拶していた。 うちのバイトにはこわがられていない。 いないけど、複雑。 私は嫌われているみたいだから。 「いらっしゃいました。ちゃんと働けよ、店員」 ユウさんも軽く言葉を返す。 複雑。 恵子さん以上に複雑かもしれない。 「働いてますよぉ」 「商品乱れてるぞ?」 「それは店長が売場にいるし…」 「おまえはなんの仕事してるんだよ」 ユウさんがツッコミいれるかのように言うと、はーいと返事をして働いてくれる。 …ありがたいけど複雑。 もう休みに入っていいかもしれない。 あとは隆一くんに任せて。 求人の方法を教えてからのほうがいいかもしれない。 たぶんどうせ辞める、この子たち。 「店長、教育がなっていませんよ。店員を遊ばせておくなんて」 「すみません」 私はユウさんに謝る。 「冗談だって」 「でも私の教育ができていないのは確かですから」 「教育難しい?ウマが合わないってやつ?」 「…とも言います」 「できそうなこと指示してやっておいてと言って、できていなかったら叱る。それだけでいいよ。叱られたことに不平不満を述べるようなナメた態度見せられたら、そのままクビで。普通は見せないけどな」 どこか相談にのっていただけたようにも思う。 ユウさんが上司というのもいいと思う。 私より年下だけど、まったくかまわない。 「ユウさん、デリヘルやめて服屋やりません?」 「俺がデリヘルやってるかのように聞こえました、それ。…うーん。まぁ、そういうのもいいかもね。唯人さんによくしてもらっているけど、撤退したほうがいいかなってくらいになってるから。俺も服好きだし。でも基盤ないから、今すぐ始められてネット通販かな。店舗は難しい」 ネット通販でもいいかも。 仕入れた服を写真に撮ってネット掲載して、注文きたら宅配。 …逃げてどうする?
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