さんじゅっこめ

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今はまだ大丈夫。 けれど、先を見通したときには今のままでは無理があるというお話を聞けたかと思う。 今すぐどうにかしなくてはならないというものでもないようで、緊張感はあまりないけれど。 このままだとお腹も大きくなってきたし、プチ旅行は更に先延ばしかなぁと家に帰ってご飯を作る。 ユウさんも一緒に帰ってきたけど、また事務所にいく予定。 じゃないと畑中くんが一人でお留守番になっている。 数人いれば仮眠取りながら電話番というのもできたのだけど、一人じゃできない。 ユウさんはスーツの上着を脱いで袖を捲って、今日は野菜を洗ってくれている。 その筋肉質な腕を見ていたら、いちゃつきたくなってきて、ぴとっとくっついてみる。 飽きない。 どれだけ一緒にいても飽きない。 大変なことがあっても乗り越えたいと思えるくらい、諦めようと思うこともない。 「しずちゃん、濡れるって。あとであとで」 なんて言われてしまうけど、手があくたびにぴとっと寄り添っていた。 ユウさんはキスを私の額にくれて、あとであとでと何度もする。 料理ができて、食べるときにはさすがに離れたけど、食べ終わったらまたぴとっ。 裸にして背中もふれたいくらい。 かわりに食べてしまおうとユウさんのズボンの上から撫でていたら、ユウさんの携帯が鳴った。 お仕事の時間かと思ったけど、時計を見るとまだ少し早い。 嫌な予感しかしない。 「……放っておこうか」 ユウさんも携帯を眺めるだけ眺めてから言ってくれる。 同意して頷いて、さっきの続き…とユウさんを襲ってしまおうとした。 シャツをはだけさせて胸元にキスをいっぱいして、ベルトをはずす前に大きくなるまで撫で撫で。 ベルトをはずして、ユウさんの顔を見ながら直接さわろうとしていたら、またユウさんの携帯が鳴った。 「……終わったあとでいいよね」 私は言ってみる。 「ね。……恵子くさいし」 私は頷いて、続き…としようとしても、着信音は続く。 うるさい。 ユウさんの携帯を手にして、そこに表示されていた予想通りの名前を見てから、そのまま私が着信に出る。 無言で。 『イサミ、遊ぼ』 そんな恵子さんの声が聞こえてくる。 「いや」 私が応えてあげた。 『……イサミの携帯に出ないで』 私とわかって声が変わった。
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