最後の片思い

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「俺と結婚しよう」 おもむろにかけたラブソングが流れる中、付き合って4年経つ彼氏から突然プロポーズをされた。 車内の温度が一気に上昇し、フロントガラスが徐々に曇ってきた。 今まで聞き流していたラブソングの歌詞が途端に耳に入るようになる。 君と一生一緒にいたい、とか 絶対幸せにする、とか プロポーズの言葉をたった一言で終わらせた彼氏の胸中を音楽が代弁してくれているようだ。 それがまた嬉し恥ずかしでどんどん体が熱くなる。 恥ずかしくて彼氏の顔がまともに見れない。私は彼の胸の中に飛び込んだ。 「うん……!」 彼の胸の中で返事をするとぎゅうっと抱き締めてくれて、それから唇を重ねた。 ガラスが曇っているので周りからは見えない、2人だけの空間。 今まで生きてきた中で、最高に幸せな瞬間だった。
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