第1章

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悲しそうな… でも、 それを受け入れてるような… そんな顔だった。 更新の講習も一緒に受けて、 浩二は何も言わずにちょっと離れたところで私たちを見てる。 けっこう気遣いができる男なのよ… 話してる内容が聞こえないほどの距離。 気配だけが感じられて。 新しい免許証を受け取って、 センターの外のベンチに座る。 「寒くない? 冷えちゃダメだからね?」 「うん、大丈夫。 今日は暖かいから…」 「今日はどこかに泊まって帰る? まだまだ話がしたいからさ…」 「ありがとう。 優子? こんな私でも、まだ友達で居てくれる?」 「当たり前じゃん。 死ぬまで親友だよ? あ、でも。 その子にはおばちゃんって呼ばせないからね? 優子ちゃんって呼ばせてよ?」 うんうん…と。 麻美は涙を拭った ひらひらと桜の花びらが舞って… すごくキレイ… 安心より、愛を貫く、 強い女を感じたから… そう思ったんだ。 「でも、 私、帰る。 もうあそこが私の街のような気がして。 ここのように…キレイな空気じゃないけど、 あそこにいると落ち着くの。 また連絡するから…」 そう言って立ち上がった。
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