第1章

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混雑する新幹線。 そうか。今日は金曜日だ。 仕事で地方に行ってた人が帰ってくるのかな。 ビジネスマンの姿がやけに多い。 座ることもできずに立ったままで新幹線を降りて、 そのまま雑踏に押されるように電車に乗って… ホテルの部屋に着いた頃にはヘトヘトで。 だけど、 どこにいても友達だと言ってくれた優子の言葉で、 出掛けるときよりもずっと明るく居られた。 何か心の中に大きな支えができたみたいで、 すごく… 上手く言えない感情だけど、 弱いところが少しだけ、消えたようなかんじと言うのかな… 涼さんの思い出だけで生きていけそうな… そんな気がした。 涼さんの事ばかりを考えて居たからかな… 新幹線の改札を抜けたとき、涼さんの声が聞こえた気がした。 麻美と呼ぶ、涼さんの声。。 そんなはずないよね…涼さんは私のことをマリアと呼ぶもの。 あの人の代わりだから。 振り返ったけれど、 背の高い涼さんならきっと見つけられるはずだけど、 居なかったのだから、 ただの空耳。 そんな事を想いながら、 いつの間にか眠ってた。 それほど疲れていたんだ… それから数日後。 定期検診の為に病院に行 く日。 前回の血液検査やいろいろと調べてもらった結果も出てるはずだし。 すごく楽しみ。 超音波越しだけど、 赤ちゃんに会える日だから。 どれだけ大きくなってるか、 この目で確認できる日だもの。
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