第1章

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「話は新幹線に乗ってからね?」 そういってジュリアさんは私の荷物を持ってくれた。 平日の新幹線は混雑してなかったのに、 グリーン席に乗った。 もったいないと思ったのだけれど、 「4時間だから。 腰が痛くなるよ?」 ジュリアさんは半ば無理矢理、 「グリーン席を二枚」 と。 「どこに行くんですか?」 4時間って…どこまで行くのかすらわからない。 「私の実家。 母が一人で住んでるから気兼ねはいらないわ。 むしろ喜ぶんじゃないかしら。 あ、でも。 私は由里亜。 夜働いてることは内緒なの。 夜の仕事をしてるとか知ったら、帰って来いって聞かなくなるから。 マリアちゃんは…麻美ちゃんでいいわね? 会社の後輩って事にしておいて?」 ご実家… 見ず知らずの私が行っても迷惑じゃ… 「ご迷惑です。 私なんか。 お母様に面倒をおかけするわけには…」 「大丈夫! 田舎でね? 地域の子供をみんなで育てるようなところ。 海が目の前で、山が背中に迫ってて。 目の前の海で取れた小魚を食べて、 裏の山で穫れたお野菜を食べると、 今のマリアちゃん…じゃなかった、麻美ちゃんの心配なんて、 あっという間になくなるわよ?」 迷惑だとか…考えながら、 目の前に海があって、山がすぐそこなんて景色を想像して、 凄くワクワクしてる私も居た…
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