第1章

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ワクワクしながらでも… 涼さんから離れるのがちょっと怖い。 会えないと言い聞かせながら、 それでも会いたいと想ってる私が、 捨てきれずに居るんだ。 その想いを。 「安定期に入ったら帰ってきたらいいじゃない? その時はちゃんと住むところを決めて、 自分でちゃんと生活できるようにしてね? そうじゃないと赤ちゃんを産めないでしょ? ホテル暮らしで赤ちゃんを育てるなんて無理なんだから。 洗濯だってお風呂だって。 時には煮沸消毒とか必要だったり、 あとは… ゴメン。 赤ちゃん産んだことがないから解らないわ。 どれだけ大変なのか」 どれだけ大変なのか…私にもわからない。 本などで見る限り、 父親の存在も必要だったりすることも、 心配の大きな要因でもあるのだから… 「じゃあ…少しだけ…よろしくお願いします…」 誰かが傍に居てくれるだけで、今の私には大きな安心になるのかもしれない。 一人であれこれ考えてるよりも、ずっと… 過ぎ去る景色をぼんやりと見てた。 私の人生みたい… あっという間に過ぎ去って… 振り返ってももう見えない、 私の人生… 『少しだけ、離れます』 小さく呟いた。 それは誰に言ったのか… あの街になのか、涼さんになのか。
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