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時間があると車を走らせてる。
マリアが近くにいるような気がして。
背の高い長い髪の女が歩いていると、
振り返って顔を確かめたりして。
抜け殻のようになりながら、
でも何とか生きてる。
マリアが戻ってくるような気がして…
マリアが居なくなった日からもう2ヶ月。
その間にだんだんとマリアが居なくなった訳が何となくだけど、
わかって来た。
あれは…
…
「仁さん。
あのカワイイ子、まだ居るの?」
同じマンションに住む飲み屋のママ。
今時珍しい昭和って感じの店。
「どうしてそんな事を聞くんですか?」
二人で出かけるところでも見かけたのだろうと思ってた。
「え?
いつだったかしら。
今月分を持って行ったのよ。
振り込みでって聞いたけどさ、同じ所に住んでるんだし?
手渡した方が手っ取り早いかなと思って…」
2年ほど前だったかな…
株価暴落で全財産を無くして、このままじゃ死ぬしかないと泣きついて来られて。
はっきり言って迷惑な話だ。
俺に言うなよって話で、
そんな事は銀行に相談しろって言ったんだけど、断られたとかで。
何度も何度も言うから仕方なく、
金を貸した。
毎月きっちり返済すると言うから仕方なかったんだ…
そこまでして店を守ろうという経営者も今時は珍しかったし。
借用書を書かせて、口座番号を教えて、
振り込みで返済って言ったのに。
口座に履歴がないとめんどくさいんだよ。
計理士が金額が合わないって。
「部屋に来たんですか?」
「カワイイ子で、つい、カラかっちゃった。
仁さんを狙ってる女は履いて捨てるほど居るんだから、
あんたもそのうち捨てられるわよって。
冗談よ、冗談。
あんまりかわいいから、それに幸せそうだからからかってあげただけ。
あの子もわかってるわよ」
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