第1章

20/40
前へ
/40ページ
次へ
ホームを降りると、 ホームの向こうにお城の城石が見えて、 その周りに咲いてる花がホームから見える。 そう。 桜の花。 新幹線がとっくに去ったというのに、 その光景がとても綺麗で… 立ち止まって見てた。 「どう言うわけかこっちの方が遅いのよ…桜」 桜の花。 この前も見たけれど、 こんなに意識して見るのは、 きっと美しいものに目を向けたいと感じてるから。 そんな感動を、 普通の人のように感じたいと想ってるんだと思う。 「行きましょう。 母には話してあるの。 お昼から仕事を休んで帰ってるって言ってたから、 きっと美味しいものを作って待ってくれてるわ」 駅からタクシーに乗って、 30分ほど。 左手に海が見えて、 海岸線を走って、 少し山の方に登ると、そこにある一軒家。 「古い家だけど…」 タクシーの運転手さんがトランクから荷物を下ろして、 玄関まで運んでくれる。 すごく親切。 「ただいま!」 ジュリアさん…由里亜さんか。 彼女の聞いたことのないような元気な声が、 すごく私の気持ちまで暖かくしてくれて…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加