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「話そうかどうしようか考えたんです。
だけど、毅さんが本当に麻美ちゃんの心配をしてらっしゃるから…
だけど、
うちのオーナーには内緒にしててくださいね?
麻美ちゃんとの約束ですから」
コクリと唾を飲む。
この言い方じゃ、見かけたとかって言う次元の話じゃないと感じたから。
そして、うなずく。
「一昨日、麻美ちゃんから連絡があって、
昨日、うちの実家に連れて帰ってきたの。
産婦人科の検査で、
妊娠中毒症になるおそれがあると言われて、すごく怯えてた。
だって、ホテルで食事は全部外食してるって言うのだから、当たり前よね?
母は独りで暮らしてて、
目の前が海で、そこで取れた小魚や、裏山で収穫した野菜を食べてればそんなことも問題ないと思ったの。
実際、彼女、すごくいい顔をしてた。
朝向こうを出てきたのだけど、
帰るときより顔色が良かったし、昨夜は美味しいって母の作ったご飯をたくさん食べてたから。
だから、
心配はいらないわ。
母や向こうにいる友達や、
田舎だからご近所みんなで支えてくれる。
私が生まれ育った場所だから…」
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