第1章

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だから嫌だったんだ。 ほかの人間と関わり合いになるのは。 こっちだって厚意で言うようにしてやってるのに、 そんな余計なことされたんじゃ… 計理士からも怒られて、 『だいたい貸金業の資格がなければ他人に金を貸してはいけないことになっているんです。 これは法律違反なんですよ?』 とか。 だから利子は受け取らないんだって。 元々そう言うつもりじゃないんだから…と。 どういう名目で出金項目にあげるかとか、いろいろと考えてもらって… 目を付けられやすいから。 税務署に。 「いい加減にしてくださいよ? もううちには来ないで頂きたい。 迷惑なんです。 口座に入金に行かなければならないのは私の方なんですから!」 ちょっと凄んで睨むと、 「すみませんでした…」 と、そそくさと帰って行って… 俺が毎晩遅くまで帰ってこなかったから、 こんなヘンな人間の対応でさえ傷つけられてしまったんだな… と、 反省をして。 そして、 それからまた少しして、 出勤しようと駐車場の車の所まで行くと、 人影が見えて… 近づくと、 あのマリアで… 「こんなところで何をしてるんだ!」
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