第1章

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** ここって、どうしてこんなに落ち着けるの? 眠りにつくまでに何時間も掛かってたのに、 ここではお布団に入って数秒で眠ってる気がする。 安心してる証拠。 病院は少し離れたところで、タクシーかカズさんが送ってくれるかでないと行けないけど、 大丈夫ですよ? いつもそう言って安心させてくれる。 良かった…と。 抱えてた不安が、重荷が、 取り払われた感じで。 お母さんが言うには、 大先生の時に由里亜さんを産んで、今は2代目の先生らしい。 代が変わるときに少子化対策のために、すべての部屋を個室にして、 シェフを雇って、今すごく人気のある産婦人科だと言うこと。 予定日次第ではかかれないこともあるという… でもそこは、 お母さんの人脈で、かかれることになったって。 潮風で目を覚まして、 朝7時には朝食。 お母さんが持って出るお弁当と一緒に私のお昼も準備してくれてて、 夕食はお母さんが帰ってこられて一緒に作るの。 昼間は… 海辺までお散歩したり、 庭で景色を見ながら借りてるCDを聞いたり。 …涼さんを想ったり… だけど… あのホテルの部屋で想ってるよりもずっと軽やかな気持ちで居られて。 感謝してる。 由里亜さんに、お母さんに、カズさんに… ここの皆さんに。
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