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「ちょっと、カズ。
あんた麻美ちゃんにあんなことやらせて…
何やってんのよ!」
由里亜が時々帰ってくる。
一晩休んですぐに帰って行くわけだけど、
家に帰る口実が出来たせいか、
いろいろとおみやげを買って、
あちこちに配り回って…
けっこう楽しんでるよう。
麻美がボタン付けをしてると、
「へえ…器用ね。
私は針に糸を通すのも難しいのに」
そう言いながら手際よくボタンを付けていく麻美の手元を眺めてた。
問題があった検査も、安定期に入って今のところ何も心配ないと言われ、
安心して過ごしてる様子にホッとする。
見る度に少しずつ大きくなってるおなかも、
楽しみになってたりして。
「ここで赤ちゃん産めば?
病院の先生もいい先生でしょ?」
「いいんですか?
ご迷惑じゃ…ないですか?」
「ここまで来て何言ってるの。
それにみんな楽しみにしてるよ?
赤ちゃんが産まれるの」
「ええ。本当にみなさんにはよくしてもらって、
この子も幸せだわ。
みなさん、一番にこの子のことを考えてくださるんですから…
あ、これ。」
そう言って立ち上がる。
「カズさんの仕事先の人が作ってくださったの。
マタニティのワンピース。
ウエストの紐でおなかの大きさを調節できて、
すごくラクなの。
みなさん、本当に優しいひとばかり…」
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