第1章

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カズの家におみやげをもって訪ねて、 縁先で話をする。 麻美の様子を。 「だって麻美ちゃん、何かやりたいって聞かないからさ。 あれだったら家でも出来る仕事だし… 賃金安いけど…」 「安いって、どのくらい?」 「月に必死でやっても3万から5万。 でも内職だから」 「ひえ! あんた麻美ちゃん、その100倍は稼いでたわよ? あ…」 余計なことを口走ったと、口を押さえる。 「なんだよ… ユリ、おまえ何やってるんだ? 普通の仕事じゃないよな…そんなに稼ぐって」 はあ…とため息を一つ。 「お母さんには絶対に言わないでよね? 心配するから…」 と前置きをして、 「解りやすく言うと、いわゆるクラブ。 高級クラブ。 100倍って言うのは大げさだけど、 こっちじゃ考えられないほど、いただいてる。 でも変な店じゃないよ? それなりに地位のある人ばかりがお客様だから、 下品なことはないの。 そう言う人も居るらしいけど、 うちはそんなんじゃない。 心配しないで。 出来る間しか出来ないから… それより、 麻美ちゃんが着てたあれ、あんたの仕事先の人に作ってもらたって…」 「うんそうだよ? これがこれだって言ったらお祝いだって。 いいでしょ。 余り布でチャチャチャっとね?」 小指を立てて大きなおなかのジェスチャーをする。
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