第1章

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そんな事があってから、 麻美はそんなに遠くに行ってはいないんじゃないかと思うようになった。 根拠は無いけど、 実家に帰っていないとすれば、 きっとこの近くにいるはず。 なにかきっと手掛かりがあるはずと、 あてもなく車を走らせて… 俺はどうして大事な人を不安にさせてしまうのか。 どこが… 何が… 足らないというのか。 自分を責めつつも、 どうすることもできない。 ただ、 無事でいて欲しいと願うだけ。 春が訪れて 何の手掛かりもないままコートもマフラーもしまって… あの寒さも思い出さなくなった頃、 電話がかかってきた 「あの、青山さん…でよろしいでしょうか」 聞き覚えのある声だった。 でも、 あの時の感じとは違って… 少し感情を抑えた、 麻美の親友の優子と言う子。
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