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準備もしていない内に部屋に上がる。失礼にも程がある。
「……しません……こと?」
はらりと脱ぎ捨てた衣服は、畳の上に無造作に。
一糸まとわぬ姿を蛍光灯の下に晒した女に不気味さを覚えながらも、その均整の取れた肢体には目を見張る。
取材とはいえ……抱いて損はあるまい。
心に一抹の卑しさを覗かせ、私は彼女の身体を舐めますように見つめた。
「きて……」
「分かった」
いいや、とりあえず考えるのを止め───
待て。
「もう一人は?」
私の質問に、布団に入っていた女は『知らない』と答えた。
「そんな訳はない、同じ店から二人同時に来ると確かに注文をした。もう一人の女性は?」
「知らない」
女の声色が冷たく響く。まるで触れられたくないかのごとく。
「……とりあえず」
私も服を脱ぎ捨てて、床につくと──
「冷たっ!!」
彼女の身体は、まさに山水に冷やされたかのようにしっとり、そして冷たい。
「おい、どういう事だ!!」
私の怒気を感じても女は微笑を浮かべるだけ。
そして、女は。
「いいから……しましょうよ」
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