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気味悪い、私は布団から出ようとしたが身体が動かない。
冷たい身体が覆いかぶさり、女の冷たい下が這う。こんなに気持ちの悪い行為はした事が無い。
そしていつからか声をあげる事も出来なくなり、冷汗を流しながらも頭の中で終われと願う。
いよいよその時、と思った瞬間。
女がぽつりと呟いた。
「良かったね」
気づけば身体が動く。口も。
「な、何が良かったんだ」
「じゃあね、あははは」
かん高い声で笑ったかと思うと、一気に部屋の照明が。
ふと時計を見ると、深夜の2時。
おかしい、21時に来るはずなのに、いや、私がうたた寝していたので気づいたらこんな時間になっていたのか。
違う、今のが夢だ。これは、悪い夢だったんだ。
木造りの廊下からばたばたと足音が聞こえ。そして遠くで警報の音が鳴っていた。
「三郎、今旅館の目の前で他殺体が見つかったってよ!!」
姿を現した叔父、私は嗚咽が漏れそうになるのを抑え冷静に問う。
「誰、誰が死んだの」
──若い女二人組み
だろうな、そんな予感はした。
そんな私の気持ちを言い当てるかのように、叔父はぽつりと。
「三郎、お前誰かに……会ったか?」
聞きたくのない台詞に私は白を切り通した。
「そうか……じゃあ誰がお前を守ったんだ?」
「守った……? どういう意味だい?」
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