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一輝が定時制高校に入学した頃、同じ埼玉県内に、とんでもない奴が居た。
風折峠 午前5時
パンパンパパーン!
峠を下って来るRZ250が1台、朝もやの中をハングオンで膝を擦りながら下って来る。
「オイ!奴が降りて来るぞ!」
「あのRZの走りは一見の価値があるよな!」
「おう!2ストで、命知らずのライディングは誰にも真似は出来ないぜ!」
「お前は、ナナハンで奴に負けたんだろ!笑」
「そう言う、お前もだろ!しかし、あんなガキなのに、なんてテクだよな!」
「来た!あれ?今朝は、後ろに、もう1台居るぞ!」
「バ、バトルをしてるのか?」
「後ろのバイクは何だ?4ストだ!」
「XJか?アイツも速いぞ!」
パパーン!
ブォーンブォーン!
「速い!このXJは何者だ!
この俺に着いて来る奴なんて、初めてだ!シビれて来た~!」
後ろを走るXJ400
「このRZ、なかなかの突っ込みだが、次のコーナーで決める!」
前を走るRZ!
「くそ!振り切れない!
しかし、インは開けないぞ!」
「ここだ!外がガラ空きだぜ!」
「何!アウトからだと!」
XJは、アッサリとRZを抜き去った。
「やられた!一体なんだったんだ!」
RZの少年が、下まで降りると先程のXJ400が居た。
「よっ!さっきは、どうも!」
派手なライディングの持主とは思えぬ眼鏡をかけた、小柄な少年が居た。
「な、なんだよ!その余裕は、イヤミかよ」
「僕は、赤石 聡16歳 早瀬くんだろ?」
「俺の事、知ってるのか?」
「早瀬祐一くんだろ?
同じ中学だったんだぜ!」
偶然、峠で出会った祐一と聡、16歳の春の出来事だった。
2人は、バイクに乗る為に高校進学をせずに中卒就職をしていた。
祐一は、自動車修理工場で整備士を目指す見習いとして働き、聡は町の工場で働いていた。
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