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「夕食もメインはシチューにしよう。身体が温まるように」
「デザートにシュークリーム食べたい…駄目?」
レオンと寄り添って歩きながら言ったアガットを見上げて、キースが小首を傾げた。
「分かった。俺が夕食を作ってる間に、買って来てくれるか?」
キースに微笑み答えたアガットは、レオンに視線を移して問うた。
「任せろ」
「やった!」
レオンも笑みを浮かべ頷くと、キースも無邪気な声を立てて微笑った。
「………」
純粋無垢なキースの笑顔にその微笑みを深めたレオンとアガットは、どちらからともなく顔を寄せて口づけを交わした。
夕日に照らされた砂浜の上に残された二人の足跡は、すぐに消え去ってしまうだろう。
けれど…レオンとアガットは知っていた。
これまで、二人寄り添って生きて来たその『証』は…決して消え去りはしないという事を。
そして…。
キースという新たな愛しい家族と共に、これから歩んでゆく未来の後に。
残されるだろう『想い』もまた、永遠に消える事はないのだと…。
完
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