プロローグ

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ベネディクトの屋敷二階に設けられたキッズルームは、沈みゆく夕日に淡く照らされていた。 中央に置かれたテーブルの上には、食べかけのクッキーやケーキの乗った皿、コーヒーやジュースのカップが幾つも並び、トランプのカードが散らばっていた。 テーブルの前のソファに背を預けて、ユーゴがうたた寝しており、その身にぴたりと寄り添った幼いミカエルとガブリエラが、やはり小さな寝息を立てていた。 テーブルを挟んだ向かい側のソファでも、それぞれ両脇の肘掛けに頭を預けたケニーとショーゴが眠っている。 ミカエルとガブリエラがアンジェラに連れられて屋敷を訪れた時は、ユーゴかケニーかショーゴがその遊び相手を務めるのが常だった。 今日はユーゴ達が三人共時間が空いていた為、まず五人で庭園へ出て、ボール遊び、鬼ごっこ、かくれんぼと続けざまに遊んだ。 その後、このキッズルームでお菓子を食べながらトランプに興じている内にあっという間に日が落ちて、すっかり疲れてしまった五人も誰からともなくうたた寝を始め寝入ってしまっていた。  「…やっぱり、眠っちゃってるわ」 キッズルームのドアをそっと開けて中を覗いたアンジェラが、そう呟いてくすりと微笑った。  「あの三人は将来、良い父親になるだろう」 ルカと共にゆっくりと歩み寄って来たダリオが、アンジェラと同じく微笑ましそうに五人を見やって言った。  「特に、ユーゴがな」 ルカがくくっと微笑って付け加えると、アンジェラとダリオも小さく声を立てて笑った。
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