プロローグ

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この世界、アミュスフィアは武器と魔術の世界。人々は魔術で自在に物事のあらゆるものをこなし、また武器を扱う騎士団などと言った者達が国を護り、また領土を広げんが為にその身を滅ぼしていった。 時は流星歴25年、帝都クロスフィアの中央に位置する城、クロスフィア城で一人の少女が自身の寝室で優雅に椅子に腰掛け、月明かりに照らされながら読書をしていた。 「………やはり、伝説は本当に……っ!?」 肩で揃えられたセミロングの綺麗な茶色の髪が月明かりに照らされキラキラと輝きを帯びている中、少女は一人呟いたその時だった。 突然、扉の外で何かがぶつかる様な音と共に騎士団員二人が豪快に扉を開けた。 少女は慌てて本を閉じると勢い良くその場から立ち上がり声を張り上げた。 「ぶ、無礼ですよっ!今何時だと……」 「姫様、ここは危険ですっ!急いでお逃げ下さいっ!!」 騎士の二人は少女の言葉などまるで耳に入っていないようで大慌てで声をまくし立てた。 「前国王が現国王様を突然幽閉なさったのですっ!急いで、追手が来ます!!」 「ま、待って下さいっ!!お父様が幽閉とは一体……―」 「詳しい話はまた後ほどっ!今は逃げましょうっ!!」 「私は此処で奴らの足止めをする!!お前は姫様を頼んだぞっ!!」 騎士の一人が未だに状況を飲み込めていない少女を抱きかかえ窓に脚をかけるなり、もう一人の剣を構え、身構えている騎士と頷き合いながらそのまま窓から飛び降りた。
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