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カナリアの呟きに一瞬部屋の空気が重くなった。
どうやら他国は本格的に動き始めているようだ。10年前の戦争により各国は大きな打撃を受け、それにより結果的な平和が実現は出来た。
10年という長い歳月を経た事で情勢は安定の兆しを見せたかに思われた。
だが…ここ、帝都クロスフィアにて以前暴動が起こった。
流石、帝都と呼ばれるだけの事はあり、この暴動騒ぎは一瞬にして各国に広まった。
「私達のなす事はこちらの諸事情に過ぎません。むしろ、国同士で争い滅びるのなら好都合です。」
「あはは、相変わらず容赦無いね。」
淡々と述べるアザリアにお腹を抱えてザーランドは笑い転げる中、アザリアは唐突にカナリアの方を向いた。
『一刻を争います。急いで“彼”をこちら側に迎えなければ。』
『ガルド…どうするの…?』
『…致し方ありませんね。後始末…任せてもよろしいですか?』
『うん、分かった。』
アザリアとカナリアの二人で行われた会話を機にカナリアはゆっくりと椅子から立ち上がると一瞬のうちにその場から姿を消した。
「あら、なによ…またカナリアと内緒の話ですの?」
「いえ、たいした事はありませんよ。」
カナリアの突然の行動に頬を膨らませたソリシアがアザリアに突っ掛かって行ったが、彼女はただ笑みを浮かべるのみで、それをザーランドが何か言いたそうに眺めていた…ー。
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