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リゼルの封印術の習得も佳境を迎え、一同は一度、宿をとり身体を休める事にした。
「全く、どいつもこいつも愛想が無いわね…。」
「そ、そうですね。ですが、アーカム様がいらしてくれて助かりました。」
「まぁ、凄く強引だったけどね。」
宿のベッドに相変わらずモゾモゾと奇妙に動き寝息をたてるリゼルとそのベッドに腰掛ける三人は、側をフワフワと漂って笑みを浮かべているアーカムと違い酷く疲れている様子だった。この発端は今から約30分程前の事である。
―30分前―
「ここの住民以外に貸す部屋など無いわっ!とっとと帰りたまえ!」
そう叫んだ宿の店主はリゼル達にそっぽを向くなり口を利かなくなった。
「おいおい、こんな所までそんな薄情な事言うのかよ!?こっちとら色々あって疲れてるってのに……。」
「お願いしますっ!一晩で構いませんから…。」
「わ、私の恩人にこの扱い…許せない!!」
必死に抗議するリゼルとセレナの声にも全く耳を傾けようとしない店主はしまいには嫌気が刺したのか奥の部屋へと向かうため踵を返して行こうとした所で唐突に足を止めた。
「その波動…アーカム様なのですか!?」
「…波動…?なんだか良くわからないけど…そうだよ!私は賢者アーカム。この人達は私が招いたんだから!」
「ま、まさか賢者アーカム様がこの様な者達を招くなど…。」
「だぁぁっ!!うるさいっ!うるさいぃぃぃっ!!」
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