炎を司る者

ペットには首輪を付けましょう

現在の状況を確認するならばセレナとカイトは先程の風圧攻撃でこちらも思い切り壁に叩きつけられてしまったのであろう気を失っているようだ。
アーカムは全くあてにならないのでこの状況では論外にするとして…リアの魔術では、おそらくあの大男の防御力には歯が立たない事が先程の攻撃で理解出来た。
おそらくスペルを詠唱した上級魔法ならば話は別かもしれないが、この状況で長ったらしいスペルを詠唱出来るかと言われればおそらく無理だ。
残るは…リゼルが目を覚ましてくれれば良いのだが……。

「伝説と呼ばれた男も儚いものだな。まさか寝てる間に命を落とす事になるとはな……ふはは、なんとも滑稽な事だ。」
「り、リゼル……。（ダメ…策が思い浮かばない…。）」

大男はその大きな手でリゼルの頭を器用に掴み上げるなり自身の顔の位置まで持ち上げた。
おそらく、あの感じだとリゼルの頭蓋骨ごと彼の頭を握り潰すつもりだろう…なんとも単純なやり方ではあるが今の現状では流石のリアも冷や汗すら吹き飛び、もはや顔面蒼白と言ったところだった。
まるでジワジワと痛ぶるつもりなのかゆっくりと手に力を込めて行く大男に対しリゼルは少しばかり表情を歪ませた。

「起きてよぉ！！リゼルくーん！！」
「ふはは！！これで終わりだ！」