プロローグ

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「いたぞっ!!あそこだっ!」 少女を抱えた騎士が何とか地面に着地するなり奥から騎士がこちらに向かって指を差しているのが少女の目に映った。 「い、一体…これはどういう……。」 「申し訳ありません…姫様…我々が不甲斐ないばかりに、国王をお護り出来ず…ですが貴方だけは必ずや私めがお護りして見せます!!」 こちらを追いかける数十名の騎士に青ざめる少女に対して例の騎士が懸命に走りながら少女に向かって微笑んだ。 だが、そんなのも束の間…追いかける騎士の一人が弓をつがえ始め、それを放った。 「っゆ、弓がっ!!避けてくださいっ!」 少女の懸命の声も虚しく矢は騎士の甲冑の隙間である首元に突き刺さり、激しく鮮血を飛び散らせた。 「っうがぁ……。」 「あ、あぁ…そんな……ごめんなさい…私の、せいで…今手当を……。」 騎士はその場にしゃがみ込んで呻き声を上げる中、少女は慌てて騎士の腕から逃れ、両手を騎士の傷の部分にかざし手当を試みようとしたが騎士がそれを制した。 「わ、私は…私は、姫様を護る一介の騎士です。どうか、最期まで…この役目を全うさせて下さいっ!そして、姫様はこの状況を打破出来る人物を………最期まで…お護り出来ない私をお許し下さい………。」 「そ、そんな……私は……―」 「姫様っ!!行って下さい!!貴方しか、貴方しかこの国を護れる方はいませんっ!!どうか、どうかお急ぎをっ!!」 騎士はそう少女に言い放つなり一人猛然と敵に向かって剣を引き抜き駆け出した。 「……あ、あぁぁぁ……う、うぅ…ごめんなさい、必ず、必ずまた、また戻って来ますっ!!ごめんなさいっ!!」 少女は敵とは逆方向に涙を流しながら駆けて行った。必ず、必ずこの国を変えてくれる人を見つけ出し、ここに戻って来ると誓って…………―。
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