第二章

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嫌いだった。 でも当たり前だった。 知らなかった。 嘘を。 真実を。 なにより、“現実”を。 自分が好きだった。 普通じゃなかった。 知っていた。 汚さを。 綺麗さを。 なにより、世界を。 感じなかった。 どうも思っていなかった。 必然だった。 ここが。 全てが。 自分の居る立場(ばしょ)が。 鈴原慧(すずはらけい) 本業は県立高等学校二年。 副業は男優。モデル。 座右の銘は文武両道。 両親兄弟共に健在。 家から学校まで徒歩五分。 コンビニまで徒歩十分。 十月一日に十六歳を迎えた。 俺のステータスはこんなもん。 朝5:10起床 軽く部屋の整理整頓を済まし、服を着替える。 「慧、ご飯よ。降りてらっしゃい。」 「わかりました。」 朝食は豆腐の味噌汁、ご飯、鮭、ほうれん草のお浸し。 朝6:00朝食 「ご馳走様でした。今日も美味しかったです。」 「それはよかった。お粗末様。」 カチャカチャと器を片付ける。 朝6:30登校 「すみません今日はもう行きますね。いってきます。」 「いってらっしゃーい。」 カラカラ音を立てるドアを閉め、ぎっしりと石が敷き詰められた庭の門まで続く大き目の石を歩く。 所詮、俺の家は古くから大家というもの。 両親、兄弟は居るが今出てきた場所には居らず、同じ敷地に建っている大きな屋敷の方に住んでいる。 朝6:37着 しん、と静まった校舎に居るのは、俺だけ。 ヴーッヴーッ バイブ音がメールの着信を知らせる。 「はははっ。君かぁ。まぁいいや。ミテアゲルヨ、対価は君にとって最も大切なモノだよ。」 明日朝8:00図書室 それだけを打ち込み、送り返す。 半年に一度。 それが明日朝8:00
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