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嫌いだった。
でも当たり前だった。
知らなかった。
嘘を。
真実を。
なにより、“現実”を。
自分が好きだった。
普通じゃなかった。
知っていた。
汚さを。
綺麗さを。
なにより、世界を。
感じなかった。
どうも思っていなかった。
必然だった。
ここが。
全てが。
自分の居る立場(ばしょ)が。
鈴原慧(すずはらけい)
本業は県立高等学校二年。
副業は男優。モデル。
座右の銘は文武両道。
両親兄弟共に健在。
家から学校まで徒歩五分。
コンビニまで徒歩十分。
十月一日に十六歳を迎えた。
俺のステータスはこんなもん。
朝5:10起床
軽く部屋の整理整頓を済まし、服を着替える。
「慧、ご飯よ。降りてらっしゃい。」
「わかりました。」
朝食は豆腐の味噌汁、ご飯、鮭、ほうれん草のお浸し。
朝6:00朝食
「ご馳走様でした。今日も美味しかったです。」
「それはよかった。お粗末様。」
カチャカチャと器を片付ける。
朝6:30登校
「すみません今日はもう行きますね。いってきます。」
「いってらっしゃーい。」
カラカラ音を立てるドアを閉め、ぎっしりと石が敷き詰められた庭の門まで続く大き目の石を歩く。
所詮、俺の家は古くから大家というもの。
両親、兄弟は居るが今出てきた場所には居らず、同じ敷地に建っている大きな屋敷の方に住んでいる。
朝6:37着
しん、と静まった校舎に居るのは、俺だけ。
ヴーッヴーッ
バイブ音がメールの着信を知らせる。
「はははっ。君かぁ。まぁいいや。ミテアゲルヨ、対価は君にとって最も大切なモノだよ。」
明日朝8:00図書室
それだけを打ち込み、送り返す。
半年に一度。
それが明日朝8:00
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