第二章

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朝8:00開門 「お待ちしておりました、迷い人の皆様。」 暗い、一つのライトが点く部屋に愉快そうな、低い声が響く。 「本日も皆様を“出口”まで導くことができますよう、お祈り下さい。」 パッ、と全ての照明が点く。 「今こそが始まりの時、そして終わりの時。是非ともお楽しみいただけるようこちらも全力を尽くさせていただきます。」 カクンッと体から力が抜ける。 椅子に座らされた迷い人の声は、支配者に届かない。 生きる世界のように、意見は深くまで通じない。 「このような行為をお許し頂きたい。だがこんなことはまだまだ序の口!」 四方八方からケラケラと笑い声がする。 「今回はルール変更。第一回だし、仕方ない。説明して差し上げよう。」 イライラとする迷い人にまた愉快そうな声で話し、パンパンと手を叩く。 「結構。気が変わった。迷い人、殺してあげよう。」 殺す。 「でも、死亡願望のある迷い人を殺しても、楽しさのカケラもない。」 矛盾。少しずつ生まれる矛盾。 「じゃ、どうしよう?今日(こんにち)までの支配者の皆様、考えて見せてください。」 今日までの支配者? おどけた風に、肩を竦める支配者。いや、“現”支配者と云うが正しいか。
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