第二章

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「あっ、一人目が到着したらしいです。押したあとが特に面白いので良く見ててください。」 理由の解決。 希望の付与。 【一つ目!】 押し殺したような声で叫ぶ女はボタンを押してまた走って行こうとした。 走ることが叶わなかったのは、目の前にあるモニターに突っ込んだからだ。 【なんで、そんなこと。俺のせいなのか?】 【そうよ!彩美(あやみ)は想(そう)君に浮気された、って泣いてたんだよ?好きならしっかり愛してやってよぉ。】 真っ白の病室に迷い人の女、その友人、恋人を思われる人が居た。 【あれはっ!違うんだ。姉、なんだ。上京してから縁が殆ど切れていて、紹介できていなかっただけで。】 二人のやり取り呆然と見つめていた迷い人はブチリ、そんな音がしてきそうなほど潔くきれたモニターの前に座り込む。 【じゃぁ、生きていたら想とまたやり直せるの?】 でも。そんな言葉が続きそうな表情だが、二人目が来てしまった。 この迷い人の理由は浮気だけではない。 『いやはや面白い。』 『反応さいっこー。』 なんとも薄情と表現するべきか、なんと表現するべきか。 「まだまだですよ。さて二人目です。」
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