第二章

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「まーいーや。」 「そうだ、憶えてる?」 「ここ、図書室なんだ。」 パチン、手を叩くと既に暗くなってしまっている外が見えた。 「じゃ、改めて。」 上に手を掲げた現支配者は謳う。 「ここから生きて出られるのは、一人だけです。」 「皆さんご覧になられましたように実体は各病院にあります。」 「まぁ、魂だけのあなた達、実は面識があったりするはずなんですがね。」 パッと顔を見合わせた迷い人の顔に浮かぶは、不安と決意のみである。 それを見て、現支配者はブチ、と腕を切った。 「印」 二種類。 朝顔と鬼灯の絵。 「連」 すぅっ、と絵が消え、残ったのは十三枚の紙。 『我が名を、岡田啓(おかだけい)』 「鈴原慧。命を決めるもの。」 『散』 「その決まりは偶然であり必然だ。愚かなものには制裁を。」 紙が飛び、十三人の体に入っていった。 「男女二人組を作れ。十分以内だ。」 視界の隅に、賭けを行う元支配者が目に映った。 「俺にも賭けさしてよ。」 『僕も。』 「俺は蓮司に。」 『僕もー。』 蓮司。十三人目の迷い人。 そもそも迷い人は男七人、女六人なのだ。この賭けは余る人。 つまり男に賭けるのは当たり前。
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