第二章

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朝7:45図書室着 学校の指定カバン。一冊の置き勉もしていないためパンパンになったその奥にある薄いポーチ。 開ければ、ただの紙にしか見えない、細長い長方形のモノが入っている。 小さい、刃のついたナイフを取り出しそれらを図書室の長い机に並べる。 朝7:50 ブチッと腕を斬りつけ、流れ出る血を紙に垂らす。 そこが心臓になったかのようにドクドクと五月蝿い。 「印」 シュルリと動き、蚯蚓が這ったような文字になる血。 「結」 その言葉と共に乾く血は赤黒くならずに綺麗な朱色、鮮血よりも明るい色をした。 はいオッケー。 「もういっちょ。」 「印」 綺麗に咲く薔薇、蕾の薔薇に紙の上で形を変える。 「縛」 黒。ただただ、黒。一瞬で闇に包まれそうな黒。美しくも、毒々しくもある、薔薇。 ハイ終わりー。 一つ目、“結”(ゆう)はこの空間を作り上げる札。 二つ目、“縛”(ばく)は死を縛る札。 あ。 ヤバイ。 倒れる。 「散」 結の札を四隅に飛ばし、座り込む。 黒に塗り潰される視界の隅に映るは俺によく似た少年の顔。 ニヤリと絡みつく視線を最後に意識を飛ばした。 朝8:20 キンコンカンコーン 静かに鳴り響く予鈴に頭がクリアになっていくのを感じた。 今回は迷い人が多いからか、血を使いすぎたんだ。 本館四階にある一年一組と本館に隣接して建てられた西館一階にある図書室。何気に近いんだなこれが。
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